東京高等裁判所 昭和58年(行コ)67号 判決 1983年11月08日
埼玉県八潮市鶴ケ曽根一二九七番地
八潮中学校内
控訴人
伊藤隆男
同県越谷市赤山町五丁目七番四七号
被控訴人
越谷税務署長
和氣誠一
右指定代理人
金丸義雄
同
星川照
同
戸川忠志
同
佐藤文夫
右当事者間の裁決取消請求控訴事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人の昭和五六年分の所得税確定申告(外国税額控除五〇九円)について、昭和五七年五月一〇日にした外国税額控除を零円とする旨の更正処分を取り消す。訴訟費用、第一、二審を通じて、被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は、次のとおり控訴人の当審における主張を付加する他は、原判決がその事実欄の第二項及び第三項に摘示するところと同一であるから、これを引用する。
(控訴人の当審における主張)
本件においては、控訴人は、本件訴えを提起することによって原処分に異議があることを表明しているのであるから、提訴後の審査請求について、不服申立期間の不遵守の場合に関する救済規定を欠く現行法の規定を本件に適用して、本件訴えを審査請求の前置の要件を欠いていることを理由に不適法として却下することは、裁判を受ける権利を保障した憲法三二条に違反するものであって、許されないものというべきである。
理由
当裁判所も、控訴人の本件訴えは不服申立の前置を欠く不適法なものであると判断するが、その理由は原判決がその理由欄に説示するところと同一であるから、これを引用する。
控訴人は、本件訴えを不服申立の前置を欠くことを理由に不適法として却下することは憲法三二条に違反すると主張するが、本件更正処分については、控訴人には法定の不服申立期間内に審査請求を申し立て、これに対する裁決を経たうえで裁判所に対してその取消しを求める途が開かれていたのであるから、控訴人は何ら裁判を受ける権利を奪われているわけではなく、したがって、控訴人の右主張は失当である。
よって、本件訴えを却下した原判決は相当であり、その取消しを求める本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。